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合宿免許の情景

ここから、この合併の二1世紀の姿も、だいたい見当がついている。 おそらく、旧ダイムラー・サイドが経営の指導権をとるようになるのであろう。
事実、いまでこそイートン氏とシュレンプ氏が新合併会社の共同会長になっているが、二〇〇三年からシュレンプ氏が単独会長になり、旧C社からは社長クラスが就任するかもしれない。 われわれは、超高層ビルが建つと、その周辺の風向きと風圧が大きく変わることを経験している。
ダイムラーC社の合併は、まさに突如、都心に建った超高層ビルの衝撃を与えた。 これから十分に変わりうるその風向きと風圧の変化には、十分警戒しておかなければならない。
いま日本の自動車会社には、新規工場を建設しようという動きはまずない。 むしろ、設備過剰分を廃棄する風潮さえある。
国内生産を増やしても、少子化がすすむ以上、需要にそれほど大きな伸びが期待できないし、輸出をすればいたずらに国際摩擦をまねだけだからである。 たとえば、トヨタの二〇〇〇年生産計画をみてみる。
1 7の通りである。 つまり、国内生産はほとんど伸びず、海外生産が九六年此八五%も伸びる。
この国外脱出志向は、アメリカのビッグスリーの場合は、もっとあからさまである。 GMの全世界生産は九七年八七八万台だった。
これを二〇〇〇年には十〇〇万台の生産設備を計画している。 実績との差は三〇〇万台以上である。

そのほとんどが国外に建設される。 一方、ヨーロッパは、乗用車販売台数が九七年一三四〇万台、九八年一四三〇万台と史上最高のレベルに達していながら、なお生産過剰の状態にある。
少しおおがかりなふたつをおみせしょう。 ひとつは、九七年の各社の稼働率である。
稼働率というのは、生産能力にたいして問題にはなろう。 面倒なことをいえば、「二シフ(二交代制)で残業なし」とか、あるいは工場を設計したときの生産台数とか、いろいろ定義はある。
このポイントをひとつだけあげよう。 稼働率が六五%を割っている会社(工場)が二九カ所のうち、じつに九カ所もあることだ。
「稼働率が六五%を割る」ということは、正常なら赤字を覚悟しなければならない。 さきにも述べた通り、九七年の販売台数は史上最高のレベルだった。
それでも、このように赤字会社が出るような状態なのである。 つまり、基本的に生産過剰体質なのである。
もうひとつ、をおみせしょう。 ヨーロッパ各社の二〇〇三年生産計画である。

だいたい計画とか予定とかは、えてしてそのときになってみると、ていどの差はあれ、ちがうものである。 その意味では、あまり信潰性がないが、いちおう二〇〇三年計画をみてみる。
2 0である.ここでも、ひとつだけボインを指摘しておきたい。 こののなかで、アミで囲った会社は純粋の地元ヨーロッパ企業である。
その二〇〇三年計画を一九九七年実績で割った数字が、いちばん左側にある。 そこには、一九九七年実績が二〇〇三年計画にくらべて、どのくらい増減しているかが計算されている。
それでみると、地元企業三社のうちへ減少組が四社、ひとケタしか伸ばさない会社が二社である。 これらは、けっして会社としての生産能力を減らそうとしているわけではない。
ただ、地元ヨーロッパでは生産能力を増やさないか、増やしてもごわずかにとどめているのである。 ということは、これから伸ばす相手先を途上国に決めてかかっているのである。
日本はどうか。 幸いなことに、東南アジアについては、いまでも生産拠点、販売拠点の八〇%以上のシェアをもつ。
これは、諸外国がその市場にふり向かなかったころから、工場進出していたからだ。 ひとつには、現地の諸国がいずれも自動車の国産化を急いだため、輸出ではなは、こと東南アジアに関しては、いまだ圧倒的な強みを発揮している。
ただ、九〇年代後半以降、中国への戦略は、アメリカもヨーロッパもきわめて果敢である。 東南アジアの遅れを中国で取り返さんといわんばかりに、熱心である。
それにたいし、日本は九〇年代に長引いた景気氷河期のため、ほとんどの企業で資金的余裕がなくなっている。 本格的には二一世紀にはいってからである。

事実、そのほうが中国自動車産業にたいする政府方針がはっきりしていいのかもしれない。 いずれにせよ、世界の体制がこういう途上国志向になったらどういう事態が起こりうるのか。
たとえば一九九七年の全世界自動車生産と販売をみてみる。 生産は、乗用車、商用車合わせて五六五二万台、販売は同じく五三四〇万台だった。
その差、三一二万台であった。 いうなれば、一〇六台買って一〇〇台売れたことになる。
このていどの生産過剰は、工場在庫や流通在庫でなんとかつじつまが合ってしまう。 在庫が多すぎて、企業がつぶれるという状況ではない。
ところが、である。 二〇〇五年になったとき、状況はいっきょに変わっている。
これは、そのときの全世界の生産・販売予測である。 参考のため、一九九七年実績とともにまとめておいた。

こので、実数もさることながら、右欄の「生産販売」にご注目いただきたい。 これは、「生産」を「販売」で割った数字である。
きわめて単純化していえば、生産と販売が見合っていれば、買った分だけ売れるとか、あるいは売れる分だけついるとかいうばあいは、答えは一になる。 一より大きければ生産過剰であり、一より小さければ買い手市場である。
逆にいえば、一より大きければ品余りであり、一より小さければ品不足である。 その意味で、この数値は生産過剰率ともいえる。
まず、最下欄の「全世界合計」をみる。 九七年の生産過剰率は、一・〇六だった。
先にふれたように一〇六台買って一〇〇台売れたのだから、まずは許容範囲だった。 二〇〇五年の生産過剰率はどうか。
一・一四である。 つまり、十四台生産しても一〇〇台しか売れない。
一四台売れ残るという状態である。 実数でいえば、七八五〇万台生産されても六八六〇万台しか売れないから、約一〇〇〇万台もが過剰となる計算である。

さらに、生産能力という点からみてみる。 工場はどんな工場でも、いつも能力ぎりぎりで買っているわけではない。
よほど好況でない限り、設備に余裕をもっている。 常識的にいえば、その設備の稼働その前提で、二〇〇五年の生産計画を七八五〇万台とすれば、設備能力の面からいえば、全世界で一億台に達することになる。
これを地域別にみてみよう。 やはり厳しいのは、各社の工場があらたに集中する中南米、東欧、アジアである。
比率からいえば、ア模の絶対数が少ないので、まだ救われる。 また、ここを拠点に輸出しようというニーズもあろう。
問題は、生産の絶対数が二四〇〇万台となるアジアである。 この地域は中国を含む。
ここに、先進国企業といわず、開発国企業といわず、いまや各社が入り乱れて工場進出計画をすすめている。 それが、おそらく二〇〇五年にピークに達する。
地域別にみた生産・販売台数からいえば、二〇〇五年には世界トップに立つ。 ただ、日本を除予測は、生産が一三一〇万台で、販売の一四四〇万台を下回っていることだ。
生産過剰率は〇・九一と、まだ品不足である。 そこをめざして、また新工場ができる。
そこから、輸出される。 それが、全世界の生産を増やすことになる。
工場進出ラッシュは、ていどの差はあれ、東欧も同じである。 これは、しかし世界の産業の宿命なのであろう。

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